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【本メモ】『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』

『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』を読んだので、本メモを公開。

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

  • 短期と長期という観点で、常に事業目的を問い、判断していく
  • 最良の尺度は生産性だが、仕事をしているのは人間である
  • 生産性には、分析・総合・管理・道具が必要
  • 働きがいには、生産的な仕事・フィードバック・継続的な学習が必要
  • これら基盤を整えるのは、マネジメントの責任であり課題
  • 個人/組織が備えるべきは、真摯さ
マネジメントは、常に現在と未来、短期と長期を見ていかなければならない。

企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない。
イノベーションの結果もたらされるものは、よりよい製品、より多くの便利さ、より大きな欲求の満足である。

「われわれの事業は何か」を問うことこそ、トップマネジメントの責任である。
企業の目的としての事業が十分に検討されていないことが、企業の挫折や失敗の最大の原因である。
逆に、成功を収めている企業の成功は「われわれの事業は何か」を問い、
その問いに対する答えを考え、明確にすることによってもたらされている。
企業の目的を使命を定義するとき、出発点は一つしかない。
顧客である。
顧客によって事業は定義される。
事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、
顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。
顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。
したがって「われわれの事業は何か」との問いは、
企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。
顧客にとっての関心は、彼らによっての価値、欲求、現実である。
この事実からしても「われわれの事業は何か」との問いに答えるには、
顧客からスタートしなければならない。
すなわち顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動からスタートしなければならない。

いつ問うべきか
ほとんどのマネジメントが、苦境に陥ったときにしか
「われわれの事業は何か」を問わない。

この問いは常に行わなければならない。
「われわれの事業は何か」を真剣に問うべきは、むしろ成功しているときである。
成功は常に、その成功をもたらした行動を陳腐化する。
新しい現実をつくりだす。新しい問題をつくりだす。

もちろん、成功しつつある企業のマネジメントにとって
「われわれの事業は何か」を問うことは容易ではない。
誰もが、そのような問いの答えは明白であり、議論の余地はないとする。
成功にけちをつけることを好まないし、ボートを揺することも好まない。

企業の各部門のマネジメントや、企業間のマネジメントを比較するうえで、最良の尺度が生産性である。
入手する経営資源はほぼ同じである。独占というまれな状況を別にすれば、
いかなる分野においても、企業間に差をつけるものはマネジメントの質の違いである。
このマネジメントの質という致命的に重要な要因を測定する一つの尺度が、
生産性すなわち経営資源の活用の程度とその成果である。

生産性の向上こそ、マネジメントにとって重要な仕事の一つである。
困難な仕事の一つである。
なぜならば、生産性とは各種の要因の間のバランスをとることだからである。

戦略計画とは何か
1 リスクを伴う起業家的な意思決定
2 その実行に必要な活動を体系的に組織
3 それらの活動の成果を期待したものと比較測定するという連続したプロセス

まず、あらゆる種類の活動、工程、市場について
「もし今日これを行っていなかったとしても、改めて行おうとするか」を問わなければならない。
答えが否であるならば、
「それではいかにして一日も早く止めるか」を問わなければならない。
さらに「何を、いつ行うか」を問わなければならない。

リスクを伴う意思決定を行いたいか、行いたくないかは問題ではない。
マネジメントは、その責務からして必ず意思決定を行う。
違いは、責任と持って行うか、無責任に行うかだけである。
成果と成功についての妥当な可能性を考慮に入れつつ行うか、でたらめに行うかだけである。

六つの規律
あらゆる公的機関が、次の六つの規律を自らに課す必要がある。
1 「事業は何か、何であるべきか」を定義する。
目的に関わる定義を公にし、それらを徹底的に検討しなければならない。
2 その目的に関わる定義に従い、明確な目標を書き出す。
3 活動の優先順位を決める。
これは、目標を定め、成果の基準すなわち最低限必要な成果を規定し、
期限を設定し、成果をあげるべく仕事をし、責任を明らかにするためである。
4 成果の尺度を定める。
例:ベル電話会社の顧客満足度や、日本が明治のころ社会発展の尺度とした識字率
5 それらの尺度を用いて、自らの成果についてフィードバックを行う。
成果による自己管理を確立しなければならない。
6 目標に照らして成果を監査する。
目的に合致しなくなった目標や、実現不可能になった目標を明らかにしなければならない。
成功は愛着を生み、思考と行動を習慣化し、過信を生む。

仕事をするのは人であって、仕事は常に人が働くことによって行われることはまちがいない。
しかし、仕事の生産性をあげるうえで必要とされるものと、人が生き生きと働くうえで必要とされるものは違う。
したがって、仕事の論理と労働の力学の双方にしたがってマネジメントしなければならない。
働く者が満足しても、仕事が生産的に行われなければ失敗である。
逆に仕事が生産的に行われても、人が生き生きと働けなければ失敗である。

仕事の生産性
生産性向上の条件
自己実現の第一歩は、仕事を生産的なものにすることである。
仕事を生産的なものにするには、四つのものが必要である。
1 分析
仕事に必要な作業と手順と条件を知らなければならない。
2 総合
作業を進めプロセスとして編成しなければならない。
3 管理
仕事のプロセスのなかに、方向づけ、質と量、基準と例外についての管理手段を組み込まなければならない。
4 道具
成果を中心に考える。
さらに基本的なこととして、成果すなわち仕事からのアウトプットを中心に考えなければならない。
技能や知識など仕事へのインプットからスタートしてはならない。
それらは道具にすぎない。
いかなる道具を、いつ何のために使うかは、アウトプットによって規定される。
作業の組み立て、管理手段の設計、道具の仕様など必要な作業を決めるのは成果である。

すでに肉体労働のためのものが、
大きな修正もなしに、情報の処理つまり事務の仕事に適用されることが明らかになっている。
サービスの仕事も、そのほとんどは、物を生産する仕事と大差はない。
肉体労働についての体系的な方法論を適用できるかどうかが明らかでない唯一の分野は、
発明や研究など新知識を生み出すための活動である。
しかし、適用できると信じるにたる理由はある。
 事実、十九世紀におけるもっとも生産的な発明家エジソンは、
体系的な方法によって、発明という仕事の生産性をあげた。
彼に常に、欲する製品を定義することから始めた。
次に発明のプロセスをいくつかに分解し、相互関係と順序を明らかにした。
プロセスのなかのキー・ポイントごとに管理手段を設定した。
そして基準を定めた。

働きがいを与えるには、仕事そのもに責任を持たせなければならない。
そのためには、
1 生産的な仕事
2 フィードバック情報
成果についてのフィードバック情報を与えることである。
自己管理が可能でなければならない。自らの成果についての情報が不可欠である。
3 継続的な学習
知識労働が成果をあげるためには専門化しなければならない。
したがって、他の専門分野の経験、問題、ニーズに接し、
かつ自らの知識と情報を他の分野に適用できるようにしなければならない。
知識労働に携わる作業者集団は、学習集団とならなければならない。
が不可欠である。
これら三つの条件は、働くものが自らの仕事、集団、成果について責任を持つための、
いわば基盤である。
したがって、それはマネジメントの責任であり、課題である。

同じように、企業もある一定の規模と複雑さに達するや、マネジメントを必要とする。
マネジメント・チームという骨格が、オーナー兼企業かという皮膚と交替する。
それは皮膚が進化したものではない。完全な交替である。
複数の人間が協力して、意志を疎通させつつ多様な課題を遂行する必要が出てきたとき、
組織はマネジメントを必要とする。
たとえ製品が優れ、従業員が有能かつ献身的あっても、
またボスがいかに偉大な力と魅力を持っていても、
組織は、マネジメントという骨格を持つように変身しないかぎり、
失敗を重ね、停滞し、坂を下りはじめる。

新しい定義
マネージャーを見分ける基準は命令する権限ではない。
貢献する責任である。
権限ではなく、責任がマネージャーを見分ける基準である。

マネージャーの仕事
二つの役割
1 部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を想像すること
自らの資源、特に人的資源のあらゆる強みを発揮させるとともに、
あらゆる弱みを消さなければならない。
これこそ真の全体を想像する唯一の方法である。
事業のマネジメント、人と仕事のマネジメント、社会的責任の遂行という三つの役割も果たさなければならない。
この三つのうち一つでも犠牲にする決定や行動は、
組織全体を弱体化させる。
あらゆる決定と行動は、三つの役割すべてにとって適切でなければならない。
2 あらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させていくこと
いずれを犠牲にしても組織は危険にさらされる。
今日のために明日犠牲となるものについて、
あるいは明日のために今日犠牲となるものについて計算する必要がある。
それらの犠牲を最小にとどめなければならない。
それらの犠牲をいちはやく補わなければならない。

あらゆるマネージャーに共通の仕事
1 目標を設定する
2 組織する
3 動機づけをコミュニケーションを図る
4 評価測定する
5 人材を開発する
これら五つの基本的な仕事すべてについて、自らの能力と仕事ぶりを向上させれば、
それだけマネージャーとして進歩する

マネージャーの資質
根本的な資質が必要である。
真摯さである。
最近は、愛想よくすること、人を助けること、人づきあいをよくすることが、
マネージャーの資質として重視されている。
そのようなことで十分なはずがない。

好かれている者よりも尊敬を集める。
一流の仕事を要求し、自らにも要求する。
基準を高く定め、それを守ることを期待する。
何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。
真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない。

目標管理
マネージャーたるものは、上は社長から下は職長や専務主任にいたるまで、
明確な目標を必要とする。
目標がなければ混乱する。目標は自らの率いる部門があげるべき成果を明らかにしなければならない。
他部門の目標達成の助けとなるべき貢献を明らかにしなければならない。
他部門に期待できる貢献を明らかにしなければならない。

目標には、はじめからチームとしての成果を組み込んでおかなければならない。
それらの目標は、常に組織全体の目標から引き出したものでなければならない。
組立ラインの職長さえ、企業全体の目標と製造部門の目標に基づいた目標を必要とする。
それらの目標は、短期的視点とともに長期的視点から規定しなければならない。
有形の経済的目標のみならず、
無形の目標、すなわちマネージャーの組織化と育成、部下の仕事ぶりと態度、
社会に対する責任についての目標を含まなければならない。

自己管理
目標管理の最大の利点は、自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることにある。
自己管理は強い動機づけをもたらす。
適当にこなすのではなく、最善を尽くす願望を起こさせる。
したがって、目標管理は、たとえマネジメント全体の方向づけを図り活動の統一性を実現するうえでは必要ないとしても、
自己管理を可能とするうえで必要とされる。
自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけでは十分ではない。
目標に照らして、自らの仕事ぶりと成果を評価できなければならない。
そのための情報を手にすることが不可欠である。

自己管理による目標管理は、スローガン、手法、方針に終わってはならない。
原則としなければならない。
自己管理による目標管理こそ、マネジメントの哲学たるべきものである。

組織の精神
天才をあてにするな
凡人から強みを引き出し、他の者の助けとすることができるか否かが、
組織の良否を決定する。
同時に、組織の役目は人の弱みを無意味にすることである。
要するに、組織の良否は、そこに成果中心の精神があるか否かによって決まる。
1 組織の焦点は、成果に合わせなければならない。
2 組織の焦点は、問題ではなく機会に合わせなければならない。
3 配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意思決定は、
組織の信条と価値観に沿って行わなければならない。
これらの決定こそ真の管理手段となる。
4 これら人事に関わる決定は、真摯さこそ唯一絶対の条件であり、
すでに身につけていなければならない資質であることを明らかにするものでなければならない。

成果を中心に考える
組織の健全さとは、高度の基準の欲求である。
目標管理が必要とされるのも、高度の基準が必要だからである。
成果とは打率である。
人は、優れているほど多くのまちがいをおかす、優れているほど新しいことを試みる。

人事に関わる意思決定
成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意思決定こそ、
最大の管理手段であることを認識する必要がある。
それらの決定は、人間行動に対して数字や報告よりもはるかに影響を与える。
組織のなかの人間に対して、マネジメントが本当に欲し、重視し、
報いようとしているものが何であるかを知らせる。

真摯さなくして組織なし
真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。

意思決定
日本流の意思決定のエッセンスは5つ
1 何についての意思決定かを決めることに重点を置く。
答えではなく問題を明らかにすることに重点を置く。
2 反対意見を出やすくする。
コンセンサスを得るまでの間、答えについての議論は行わない。
あらゆる見方とアプローチを検討の対象にする。
3 当然の解決策よりも複数の解決案を問題にする
4 いかなる地位の誰が決定すべきかを問題にする
5 決定後の関係者への売り込みを不要にする。
意思決定のプロセスのなかに実施の方策を組み込む。

この基本は、日本以外でも十分に通用する。
それどころか、これこそ効果的な意思決定の基本である。

問題を明確にする
どのような認識の仕方があるかを明らかにすることが、効果的な意思決定の第一歩となる。
意思決定は見解からスタートしなければならない。
異なる見解を奨励しなければならない。
同時に、見解を出す者に対し、その妥当性について徹底的に考えることを求めなければならない。

意見の対立を促す
意思決定における第一の原則は、意見の対立を見ないときには決定を行わないことである。
1 意見の対立を促すことによって、不完全であったり、まちがったりしている意見によってだまされることを防げる。
2 代案を手にできる。
行った意思決定が実行の段階でまちがっていたり、不完全であることが明らかになったとき、
途方に暮れなくてもすむ。
3 自分自身や他の人の想像力を引き出せる。

行動すべきか否か
常に「意思決定は必要か」を検討しなければならない。
何もしないことを決定するのも、一つの決定である。
1 行動によって得られるものが、コストやリスクよりも大きいときには行動する
2 行動するかしないかいずかれにする。二股をかけたり妥協したりしてはならない。

フィードバックの仕組み
1 意思決定の前提となった予測をはっきりさせなければならない
2 決定の結果について体系的にフィードバックしなければならない
3 このフィードバックの仕組みを、決定を実行する前につくりあげておかなければならない

企業活動からリスクをなくそうとしても無駄である。
現在の資源を未来の期待に投入することには、必然的にリスクが伴う。
まさに経済的な進歩とは、リスクを負う能力の増大であると定義できる。
リスクをなくす試みはもちろんのこと、リスクを最小にする試みさえ、
リスクを非合理で避けるべきものとする考えが底にある。
だがそのような試みは、最大のリスクすなわち硬直化のリスクを冒しているといわざるをえない。

活動分析
組織構造に組み込むべき活動のすべてを知る必要はない。
知らなければならないのは、組織の重荷を担う部分、すなわち組織の基本活動である。
1 組織構造の設計は「組織の目的を達成するには、いかなる分野において卓越性が必要か」との問いに答えることから始まる。
2 同時に「いかなる分野において成果があがらないとき、致命的な損害を被るか、いかなる分野において最大の弱点を見るか」
との問いに答えることも必要である。
3 最後に「本当に重要な価値は何か」との問いに答えることも必要である。
組織の基本活動を明らかにするものは、これら三つの問いである。
それらの基本活動が組織の重荷を担う部分、すなわち組織の基本単位となる。

目的と戦略からスタートした基本活動についての活動分析だけが、組織が真に必要とする組織構造を教える。